咖啡场景
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投稿者
小坂章子
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2018-6-25
  • 珈琲がそこにあるだけで、
  • いつもの日常が豊かにふくらみ始めていく。
  • そんな珈琲まわりの徒然話を日本よりお届けします。
  • 大坊さん監修「FUJI手廻しロースター」

     少し前の話題ですが、ご報告させてください。
     2017年秋。『大坊珈琲店』店主の大坊勝次さんが監修した「FUJI手廻しロースター」が復刻発売されました。もともと大坊さんがお使いの手廻しは、フジローヤルの前身にあたる富士珈琲機械製作所の寺本一彦氏による1キロ釜だったわけですが、今回はそこに大坊さんなりのカスタマイズを加え、より使いやすい仕様を実現しています。
     完全な手動につき、温度計もモーターもついていません。調整できるのは、ガスの火のみ。ですから自分が作りたい珈琲のイメージを描き、そこに限りなく近付ける作業を積み重ね、使い手自身の感性で仕上げる地道な仕事が求められる。年月がかかる作業でしょうね。
     宣伝用の映像を浅草は鳥越の『蕪木』さんをお借りして撮影したのですが、さすがの大坊さんも一度目の撮影では、新しいガスバーナーの火力調整に戸惑っておられました。いつもより火力を早く下げすぎて豆が思うように色づかないという事態に苦戦されたようで、いつもの焙煎より10分強ほど時間がかかっていました。けれど2回目は火力を微妙に調整して、ご自身が常日頃から目安とされている30分きっちりで珈琲豆をザルにあげられました。さすがお見事、ブラボーです。数値化できない分、大坊さんの身体感覚を通した五感のみによってはじき出された焼き加減なのでしょうね。習得までには年季とセンスが必要でしょうが、それだけに人生をかけるに値するやりがいのある仕事といえます。
     大坊さんは言います。「いちばん言いたいのは、みんな自由だよってことです」と。38年間続けた店を閉じ、今はフリー珈琲職人としてご活躍の日々。あらゆる荒波をくぐり抜け、悟りに到達したのかと思わせるその言葉は、あなたはあなた自身であれと、大きな掌で背中を押してくれるような気がします。

     さてここで、富士珈機の福島社長よりごあいさつ。
     皆さま、いつもお世話になっております。福島でございます。今回、大坊さんがお使いの手廻しロースターの復刻版を販売することになりました。お店は、2013年12月で閉店したのですがいまだ根強いファンが大変多く、全国各地で行われる大坊さんの抽出講座は今でも大人気ですぐに満員になります。
     またご自身でもすこしずつ焙煎を教えていこうかという思いもあったようです。何年か前から私の顔を見るたびに「手廻しは、作らないの?」とそれとなくお話があったので、「大坊さんが購入者に焼き方を教えてくださるのであれば、うちで作りましょう」とお答えしましたところ、「やってもいいです」と。そこで今回、鋳物屋など多くの職人の協力を得て、実現することができました。大坊さんのあの深煎りの赤黒く綺麗な、苦くも甘い素晴らしいコーヒーを自らの手でうみだし、後世に残していってくれる方がお一人でも現れてくれれば幸いに思います。毎月1回、購入者の方を優先に開催している大坊さんの手廻しセミナーも大好評なんですよ。

     福岡の「豆香洞コーヒー」の後藤さんも購入されましたが、外国製の立派な焙煎機を持っているし、フジローヤルのDISCOVERYもあるし、なぜ手廻しを購入されたのか尋ねたところ、こんな答えが返ってきました。
    「いつもの焙煎は、もちろん豆の顔も見るんですけど、数字やデータをもとに作っているんですよ。でも手廻しって温度計もないし、頼れるのは自分の感性だけですよね。最近、そういう焙煎をまたしてみたいなと思っていたんです。DISCOVERYもいいんですけど、やっぱり機械の延長だし、駆けだしの頃にやっていた手網に戻るのも、なんだかなあって。その点、手廻しは一度もやったことがなかったので。この手廻しロースターで自分が飲みたい自分のためだけの珈琲を作ってみたら面白いだろうなと考えています」
     すでに2回も大坊さんの手廻しセミナーに参加している後藤さん。汗だくになって廻し続ける姿を目撃しましたが、ものすごい意欲です。大坊さんも「来る必要なんかないのにね」と不思議そうな顔をされますが、なにせ愉しいのだから誰もとめられない。次は、そんな大坊さんのセミナーの様子をレポートしますね。それではまた次回。



    大坊さん監修「FUJI手廻しロースター」

    大坊さん監修「FUJI手廻しロースター」

    大坊さん監修「FUJI手廻しロースター」

    大坊さん監修「FUJI手廻しロースター」