咖啡场景
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投稿者
小坂章子
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2016-06-25
  • 珈琲がそこにあるだけで、
  • いつもの日常が豊かにふくらみ始めていく。
  • そんな珈琲まわりの徒然話を日本よりお届けします。
  • 写し焙煎大会 in 上海(3)

     白熱した写し焙煎大会の後、参加者全員を招いて打ち上げパーティが行なわれた。話題は、もちろん珈琲一色。参加者から三人の先生への質問をご紹介しよう。

    Q 今回のお手本豆の焙煎について教えてください。
    後藤:私は、深いりのグアテマラを担当しました。(この一言だけで、すでに会場から大きな拍手!)前提として美味しい珈琲を目指すというよりは、焙煎の意図を明確にすることをめざしました。バランスよく火が入った深いり珈琲は、どこかに甘苦さが感じられます。それが出ているか。香りではなく、甘苦さが焙煎で作れていたか。ダンパー操作がきちんとできているか、きちんと深煎りができているか、ダンパーを締め気味にやいて、かつ煙臭くないという点を審査しました。
    田原:僕は、浅いりのイルガチェフェを担当しました。ナチュラルという自然乾燥の豆なので色々な形と熟度が混ざっていて、グアテマラみたいに揃っていません。そういう豆を浅いりで焼くと、美味しくない焙煎になることの方が多いから難しかったと思います。僕の場合、火力を上げすぎず、1キロパスカルに設定しました。初期火力はそれほど強くないので、豆の投入温度を200度で高めにしました。ダンパーはひとつ絞めて4。一ハゼと同時にダンパーを5にして火力を下げました。焙煎の意図は、一ハゼと同時に後半の仕上げを少し長めにとること。冷めた時にまずくなってしまうのが浅煎りの弱点ですが、後半を長めにとることですっきり感がでます。そういう味になるように焙煎を組み立てました。

    Q 初めての写し焙煎大会の審査、いかがでしたか?
    後藤:初めての試みでしたけど、緊張よりも、いろんな珈琲が飲めるんだろうなという楽しみの方が大きかったです。予想よりも皆さんの焙煎が上手でびっくりしました。それと、私たち自身もすごく勉強になりました。
    田原:いろんな競技大会があるなかで抽出にばらつきが出る場合があって残念に感じることもあるのですが、その点「ねるっこ」の抽出は、短時間で安定した味わいの珈琲をいれることができるので、とても良かったです。それと富士珈機のスタッフの方々の連携も素晴しくて、僕たちは安心して審査に集中することができました。上海の競技者の方々はとても熱心ですし、焙煎技術のレベルも高い。僕らも負けていられないなと刺激を受けました。

    ここで、富士珈機?東京支店の杉井さんと、福島社長も顔をそろえ、ざっくばらんに語りあった。
    ◆ディスカバリーってどんな焙煎機?
    杉井:今回は、上海到着早々、たくさん焙煎していただき、ありがとうございました。お疲れになったでしょう。
    後藤:全部で3キロを焼かないといけなかったので、250gの生豆で仕上がりが200gとして、2種類の豆だから計20バッチ(釜)。もっと焙煎しかったんですけど力尽きてしまって(笑)。
    杉井:ディスカバリーを使ってみた感想はいかがですか?
    後藤:精度が高いですね。焙煎機のクセがわかるということは、毎回同じ挙動をしてくれるということですから。クセをつかんだら、あとはこちらがうまく使えばちゃんと答えてくれる。精度が低い焙煎機だと、毎回変わるわけです。それがないからすごくいい。苦手なところは苦手なりに出してくれる。今回使ったディスカバリーは、それぞれに得手不得手があって、そういう発見も面白かったです。
    杉井:おふたりとも焙煎をしながら、楽しい楽しいと連発されていましたね。
    後藤:はい、楽しい分、めちゃくちゃ疲れました。30バッチは焼かないといけないのに20バッチくらいで、徹夜で麻雀やっているようなハイ状態がずっと続いてガス欠になって、最後の最後に大きなミスをした。しかも生豆と灼いた豆を一緒に混ぜちゃうという初心者のミス(笑)。
    田原:ディスカバリーはいい機械ですよ。再現性も精度も高いし、あれでドラムの回転数のコントロールができたら、もっといいかなと実は思いました。浅煎りから中煎りが強いですね。深煎りだったら、ちょっとフラットになりがちなので直火のドラムを使いたい。精度が高くて色んな遊びもできそう。排気ダンパーの幅がもうちょっとあると味づくりの可能性が広がっていきそうです。
    後藤:ダンパーは、僕も同じ意見です。今は、使いやすいようにカチカチカチと1?5の段階で留まるようになっているんですが、プロ向けのオプションでダンパーを無段階に設定できるようになれば楽しい。結局、自分達が使いたいのは、2.3とか、2.7とか、カチカチの間の微妙な部分なので(笑)。焙煎機を使いこんでいくと、刻んでいる目盛りの間がとれるようになるんです。それがとれるようになると、さらにその間がとれるようになってくる。ディスカバリーの良さはダンパー操作がきちんとできる点。そこを無段階にしてくれたら自分の中ではパーフェクトです。
    杉井:海外の焙煎機だと、ダンパーはほとんど調整しないですよね。ダンパーがあった方がいいですか? なければなくてもいい?
    後藤:人それぞれのスタイルでしょうね。田原さんはダンパーを使ってないから、いらないでしょう。
    田原:プロバットの時はね。でも実はうちにも開店以来39年使ってきたフジローヤルの半熱風釜があるから、ダンパー操作も経験しているんです。ただ珈琲の勉強を始めた頃に、実際に飲んで美味しかった珈琲が全部プロバットだったので、ある時、ポンとプロバットにいっちゃった。だから今回は、久しぶりに珈琲の味づくりの楽しさを味わって、店にあるフジローヤルでも焙煎しようという気持ちになりました。うちはネルドリップで抽出しているんですけど、やっぱり日本人には、ダンパー操作で個性を出す焙煎の方が好まれるのかなという部分はあります。

    ◆気になる味をプロファイルシートで再確認
    福島:実は皆さん、大会で勝つというより、なかなか手に入らない貴重な生豆をもらえることの方が嬉しかったみたいで、全部、焙煎せずに大切に持ち帰られたというんですから、立派な珈琲おたくですよね(笑)。特にイルガチェフェは、あんなに素晴しい珈琲は飲んだことがないとすごく喜んではりました。
    後藤:イルガチェフェの焙煎は難しかったですよね。きちんと焼いて個性も出しつつ、きれいに焼いてというのは。
    田原:浅いりの方が苦戦していましたね。深いりは、どれもレベルが高かった。
    後藤:でも両方とも上手な方が優勝したというのは、結果的に良かったですよ。どんな豆でも対応できる幅があるということだから。
    田原:あ、8番の人のプロファイルシートを見てなかった。どうやって焼いたのか真似しようみよう(笑)。えーっと初めはダンパー4、7分後にダンパー2にしてる。普通は、火力をあげたらダンパーをあけて煙を逃がすんですけど、一般常識と逆転の発想だ。う?ん、なんかいいな(笑)。
    後藤:スゴイですね。確かに「ない」ですけど、私も店で真似してみよう。
    福島:いやあ、おふたりとも本当に珈琲がお好きなんですね。さすがプロ!
    田原:え???いやあ、それはどのへんだろう(笑)。
    福島:大会で使うお手本豆の方向性を決める打ち合わせでも感じたんですけど、できたカップに対して、この辺をどうしたらこうなるか、、お互いの共通認識をしっかり持ってはる。すごいなあと思ってみていました。そういえば後藤さん、飲んで「うまい」と言うのは、プロとしてあかん、NGワードという話をされていましたね。
    後藤:修行時代、私の師匠から、「おいしいまずいは、プロ失格」という言葉をいただいたんです。それはお客様が言うことであって、プロはどう良くて、どう感じたかを99%説明できなくてはいけないと。「美味しい」からは、何も生まれないんですよ。今回の参加者の声で、私はこっちの方が美味しかったという感想がありましたが、それだと自分の好みの評価でしかない。そこから次のステージに行ってほしいんですよ。そのために自分の好みではなく、お手本の味に近づけるという勉強方法は、すごく有効だと思います。やっぱり真似るって大事です、「学ぶ」=「真似ぶ」ですから。
    福島:そうっ!!(思わず膝をたたく) 「写し」という言葉は、芸術などの世界でも偉大な人達がそれを通して、技術継承をやってきたわけで単なるコピーではないんです。何かを習得する時にとても大事なことやと思います。
    後藤:それができるようになって、理論をひも解くのがいちばんいい。
    福島:それを日頃から皆さんにしてもらえたらと、写し焙煎を考えたんです。
    田原:とても勉強になる素晴しい焙煎大会だと思いました。
    福島:今後、今回の反省点をふまえて日本でも開催していきたいと思っています。これからもご協力をよろしくお願いします。

    一同、あらためて乾杯をして、3日間に及ぶ展示会をねぎらったのでした。それでは、また来月。



    写し焙煎大会 in 上海(3)

    写し焙煎大会 in 上海(3)

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