咖啡场景
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投稿者
小坂章子
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2016-05-25
  • 珈琲がそこにあるだけで、
  • いつもの日常が豊かにふくらみ始めていく。
  • そんな珈琲まわりの徒然話を日本よりお届けします。
  • 写し焙煎大会 in 上海(2)

     富士珈機が開催する世界初の写し焙煎競技会を簡単に説明しよう。
     競技参加者に支給される生豆は、一種類につき1キロ。小型焙煎機ディスカバリーは、一回に250g焙煎できるため4回まで挑戦できる。焙煎済みのお手本豆は、一種につき100gを支給。抽出器具「ねるっこ」は、一回24gを使用するので、最高で4回抽出してテイスティングができる。お手本豆と自分の豆を飲み比べて、いちばん近いものを提出。審査は、「焼き」「発達」「苦味」「酸味」「ボリューム」の5項目に点数をつけ、深煎りと浅煎りの2種の総合点が最も高い人が勝者となる。
     今回のお手本豆(深煎り?グアテマラ、浅煎り?イルガチェフェ)は、「豆香洞コーヒー」の後藤さんと、「珈琲蘭館」の田原さんが上海に着いて早々、上海事務所で焙煎したもの。
     実は、福岡であらかじめ、お手本をどんなふうに焙煎するか、試しに焙煎をしてみて味の方向性を決めたのだという。焙煎大会?世界チャンピオンの後藤さんが灼いた豆をカッピング世界三位の経歴をもつ田原さんがカッピングし、味覚を芸術の観点から総合的にとらえる「珈琲美美」の森光さんが見守る???。福岡発の最強タッグ、怖いものなしである。
     審査当日。ブースに集まった参加者が固唾をのんで見守るなか、真剣な面持ちでノートに点数をつけていく三人。ここで、審査の舞台裏で小耳に挟んだ会話をちらっとご紹介しよう。

    後藤:4番はいいなと思ったけど、味も香りもリッチでボリュームがありすぎるから、そんなに高くは点数がつけられない。
    田原:僕は4番がいちばんいいと思う。紅茶のようなフレーバー、これを出すのは難しい。
    後藤:そうなんですよ、このカップ自体はすごくいい。でもお手本と全く違う。
    田原:焙煎度合いは近い。苦味はあるけれども質感が明るくて、冷めても香りが消えない。でも、確かにお手本とは違うね。
    森光:私も4番がいちばん良いと思う。主張があって評価が高い。
    後藤:うーん。そこが難しいところで、お手本よりも飛び越えちゃっているので、写し焙煎という大会の主旨にはあわないと思います。
    田原:後藤さん、お手本と4番はどうテクニカル的に違うか、教えて(笑)。
    後藤:時間をちょっと短くしてボリュームを出す、単純に火力だけをあげてもいけないので、たぶん途中で火力操作をして帳尻を合わせているのかな。
    田原:お手本豆の初期火力設定より、こっちの方が強い?
    後藤:強いか、途中で火を入れているか。
    田原:だけど全体の時間はこっちの方が短いよね。
    森光:ダンパー操作をやってないのがもったいない。ちゃんとやれば違う。
    田原:いや、僕はやっていると思う。ただ火力が1?2の中でダンパー操作しても味に表れにくいんですよ。でも操作したから、味わいに何かが出ているんじゃないかな。
    後藤:それ、コメントとして残したらいいですね。良すぎましたって(笑)。
    田原:言いにくいね(笑)。
    後藤:ただカップの構成が違ったら、いくら美味しくても点数は下げないと、この大会の趣旨にはあわないですよね。
    田原?森光:OKです。

     全員の審査基準を摺り合わせたあとは、黙々とカッピングし点数をつけていくわけだが、珈琲に関する共通言語をもつ後藤さんと田原さんが活発に意見交換する傍らで、森光さんは淡々とノートに向かう姿が印象に残った。にも関わらず、味の評価はピタリと一致するのだ。日々、珈琲と真剣に向き合う店主だからこその「絶対味覚」を目の当たりにして、あらためて尊敬の念を抱いたのであった。
     1位と2位は僅差で、優勝者の名前が告げられると、会場から大きな歓声と拍手が起き、富士珈機のブースは異様な盛り上がりに包まれた。開催側も、競技者も、審査員も、何もかもが初めて尽くしの初挑戦。珈琲を愛するもの同志が互いの持ち場で力を尽くし、あうんの呼吸で創りあげた本大会は、ピンと張りつめたなかに清々しい空気がながれていて、胸を打つものがあった。

    ◆栄えあるチャンピオン、ヤン?ジャージャさん(32歳)より一言
     僕がこの世界に入ったのは8年前、自分の店で焙煎をはじめて4年になります。これまでいろんな競技会に参加してきましたが、今回、いちばん大変だったのは時間が長かった点。焙煎して、さらに抽出してカップの味もみないといけない。焙煎の数値を頭で計算しながらだったので体力もいりました。昼食は、精神的に集中が途切れるので食べられませんでしたね。
     ディスカバリーという焙煎機は、以前、ヨーロッパの大会に出た時に初めて使いました。その時は温度の上がり方が遅かったので、あまりよくないと思ったのですが、実際に今回、焙煎してみると自分の思うように温度も上がったし、いい機械だと思いました。ただ小さな豆の場合、珈琲豆が溝に落ちるので焙煎するたびに掃除しないといけないのが大変でした。今回は珈琲の勉強になると思って参加したんですけど、高い評価をいただき、ラッキーでした。今回2位になった友人も一緒に勉強している仲間です。
     中国人は珈琲愛好家の数がまだまだ少ないので、そういう人達が飲んで感動する珈琲を作りたい。自分の珈琲を通じて、中国に珈琲文化を広めていきたいと強く願っています。近いうちに福岡の珈琲屋さんを巡りたいですね。今回は、ありがとうございました。


    写し焙煎大会 in 上海(2)

    写し焙煎大会 in 上海(2)

    写し焙煎大会 in 上海(2)

    写し焙煎大会 in 上海(2)