咖啡场景
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投稿者
小坂章子
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2016-04-25
  • 珈琲がそこにあるだけで、
  • いつもの日常が豊かにふくらみ始めていく。
  • そんな珈琲まわりの徒然話を日本よりお届けします。
  • 写し焙煎大会 in 上海(1)

     『上海国際ホテル用品博覧会』(2016年3月29日?4月1日)の展示会場を訪れた。いくつもの会場を乗り合いのミニバスで移動するほど、広い。このダイナミックさは、さすが上海。入場証を提示し、富士珈機のブースを訪れると、真新しい焙煎機とミル、桜や紫陽花などの生花がディスプレイされた気持ちのよい空間が迎えてくれた。
     壁には、『珈琲美美』森光宗男さん、『珈琲蘭館』田原照淳さん、『豆香洞コーヒー』後藤直紀さんのお三方のパネル写真が大きく飾ってある。実は、今回、富士珈機ではふたつの大きなお披露目が行なわれたのだ。
     一つ目は、ネルドリップの伝道師、森光さん監修の新しい抽出器具、ネルブリューワーNELCCO(ねるっこ)の世界初デビュー。二つ目は、この「ねるっこ」と「みるっこ」「ディスカバリー」を用いた『第一回 写し焙煎競技会』の開催である。三人は大会の審査に加え、森光さんはエチオピアの珈琲事情、後藤さんは焙煎の話、田原さんはカッピングに関するセミナーを行ない、上海っ子たちの珈琲アイドルとしてサイン&写真攻撃を受けていた。
     ネルドリップ抽出器具「ねるっこ」の詳しい話は、またのコラムに譲るとして、今回は「写し焙煎大会」について書いてみよう。「写す」とは、つまりお手本にしたい焙煎を真似て、その世界を自ら体感し、理解していくという学びの手段をさす。
     たとえば私なら好きな作家の文章を一字一句違わず書き写す。陶芸家なら古代の陶片や文献で見た器の形などを忠実に模倣して作る。こうした地道な体験を経て、リズムや構成、先人の思想などを体感し、わずかでも自らの技術力向上につなげていこうとする鍛錬の手段である。
     この「写し」を焙煎に用いたのが富士珈機の競技会なのである。発案した福島社長がマイクを手にその心を熱く語った。
    「えー、皆さん。今回はご参加いただき、ありがとうございます。今、世界じゅうでいろんなコンテストが開催されていまして、富士珈機さんも何かしてくださいという要望が随分前からありました。うちでやるとしたら、どんな大会がいいだろうかと考えていた時に、尊敬する先人の作品を模写して後世に受け継ぐ琳派のことを知り、そうや、焙煎も一緒やんか!と思い至ったわけなんです。写し焙煎とは、熟練した先生が灼いたお手本豆をこのネルドリップの抽出器具で煎れた珈琲を飲んでいただき、その味や香りを再現するという競技です。カッピング用の液体ではなく、あくまで焙煎、粉砕、抽出という工程を経たカップの味わいを審査します」
    「珈琲の焙煎で大切なのは何か。私は、データではなくカップに注がれた味や香りやと思います。焙煎機を買われた初心者の方の中には、有名な焙煎士の温度データ通りに焙煎すれば美味しい珈琲になると勘違いされている方も多くいらっしゃいますが、焙煎環境も機械も違うのでいくら同じデータを参考にしても一緒の味にはなりません。それよりも自分が美味しいと思う味にどうやって近づけるか、試行錯誤しながら、自身の経験値を増やしていくことの方が大切ですし、結果、焙煎テクニックも身についていくでしょう」。
     前例のない競技会。来月は、続きをご紹介します。それでは、また来月。

    写し焙煎大会 in 上海(1)

    写し焙煎大会 in 上海(1)